土産物を売るアンコール遺跡の子どもたち
土産物を売るアンコール遺跡の子どもたち〔カンボジア/シェムリアップ〕
カンボジアのシェムリアップは、アンコール遺跡群への玄関口。
ここを拠点に、多くの観光客がカンボジアの誇る壮大な遺産群を訪れる。アンコール王朝の栄華を今に伝えるアンコール・ワットをはじめ、ヒンドゥー教の影響を受けた数々の寺院が点在し、訪れる者を魅了する。
遺跡の複雑な彫刻が施された塔や壁画を目前にすると誰もが思わず息を呑む。
また、シェムリアップの近郊には東南アジア最大の湖、トンレサップ湖が広がる。まるで海のようなこの湖は、カンボジアの人々にとって命の源であり、豊かな漁業資源をもたらす一方で、季節によって大きく水位が変動するという特徴がある。
湖の周囲には水上生活を営む村々が点在し、人々は高床式の家を建て、ボートを移動手段として生活を送っている。
そんなシェムリアップには、世界中から旅行者が集まる。そして、そうした観光客を相手に土産物を売る子どもたちの姿もいたる所で見られる。
彼らは、主にアクセサリーや絵葉書、小さなガイド本や手作りの民芸品などを手に持ち、通りすがる観光客に熱心に売り込む。
「安くするから買ってよ」、「学校へ行くお金が必要だから」といった言葉を繰り返しながら、一生懸命に客の後を追いかけるのだ。
子どもたちの対応はさまざまだ。買わないと分かると、諦める子どももいれば、粘り強く食い下がる子もいる。観光客が買わずに通り過ぎると、捨て台詞を言い残して去っていく子どももいる。
ニコニコしながらどこまでもついてきて、最後には「写真を撮ってよ」と無邪気な笑顔を見せる子どももいる。
一方的に売りつけるのではなく、冗談を交えながら巧みに会話を盛り上げ、買わざるを得ない雰囲気をつくる知的派も存在する。
意外にも流暢な英語を話す子どもが多い。学校へ通う時間が確保されていないにもかかわらず、日常的に観光客と接することで、簡単なあいさつや商売のためのフレーズを身につけているのだ。
「Where are you from?」、「It's very cheap!」、「Special price for you!」と、まるでいっぱしの商売人のように話しかけてくる姿には敬服してしまう。
そんな子どもたちのひとりからお土産を買おうものなら、まるで蜂の巣をつついたかのように、周囲の子どもたちが一斉に集まってくる。「上客だ!」と見込まれた途端、次々に別の子どもが近寄ってきて、「私のも買って」、「これも見て!」と矢継ぎ早に売り込むのだ。
このような光景から、彼らが置かれた厳しい生活環境が垣間見える。
多くの子どもたちは学校に通う時間が十分に取れず、家計を支えるために労働に従事している。
観光業が主要な収入源であるシェムリアップでは、こうしたストリートチルドレンの姿は珍しくない。彼らは生きるために、観光客相手に物を売ることを覚え、どのようにすれば買ってもらえるかを日々学びながら成長していく。
彼らとの会話の中に、笑顔やユーモア、無邪気な子どもらしさを認めることも多い。
土産の売り込みの合間に手品を披露したり、一瞬の隙を見て私の手を取り手相を占ったり、中には自分の自転車に乗ってみてと自転車を差し出す子どももいた。人との関わりを楽しむことも忘れずにいる彼らを微笑ましくも感じる。
シェムリアップの町では、アンコール遺跡の壮大な歴史の影に、地元民のリアルな生活が垣間見える。
観光客を相手に奮闘する子どもたちの姿は、それを象徴するものとも言えるだろう。
土産物を売るアンコール遺跡の子どもたち〔カンボジア/シェムリアップ〕<Kids>
<Kids>はキッズと読むよ。「子ども」という意味。大人の文章はちょっと固くて読みにくいよね。<Kids>の表示がある文章は、小学生や中学生でも読みやすい文章にしているよ。これからキッズのみんなに読んでほしい記事をたくさん書こうと思ってるからときどき遊びに来てね。検索窓に<Kids>または<キッズ>と入れてキッズ向けの記事を探してね。くまの先生より
土産物を売るアンコール遺跡の子どもたち(カンボジア)
カンボジアのシェムリアップは、アンコール遺跡群への入り口!
世界中から観光客が集まり、カンボジアが誇る大迫力の遺跡を巡るんだ。アンコール・ワットや、その周りに広がる寺院は、まるで昔の王様がまだ住んでいるみたいなスケールの大きさ!
遺跡の壁には美しい彫刻がびっしり!何百年も前の職人さんたちがコツコツ彫ったものが、今も残っているなんてすごいよね。
さて、そんなシェムリアップの遺跡で、もうひとつ目を引くのが…お土産を売る子どもたち!小学生くらいかな。
彼らは手にアクセサリーや絵葉書、小さなガイドブック、手作りの民芸品なんかを持って、「これ買ってよ!」、「安いよ!」、「学校に行くお金がいるんだ!」と一生懸命にアピールする。
買わないとわかると「ふーん、じゃあいいけど」とあっさり引き下がる子もいれば、「お願い!お願い!」と最後までねばる子も。ときには「なんで買ってくれないの!」とちょっぴりすねちゃう子もいるけど、「写真撮ってよ!」なんてニコニコ笑う子もいて、その表情はとても無邪気。
なかには、観光客との会話がとっても上手な子もいて、「Where are you from?(どこから来たの?)」とか、「It's very cheap!(すごく安いよ!)」なんて、びっくりするくらい流暢な英語を話すんだ。
実は、彼らの多くは学校に行く時間があまりない。それでも、毎日観光客と話しているうちに、自然と英語を覚えてしまうんだって。まるでいっぱしの商売人だね!
でもね、もしひとりからお土産を買ったらもう大変!
「おお!この人は買ってくれるぞ!」と、一瞬で周りの子たちがゾロゾロと集まってくる。「次はこれ買って!」、「こっちのもいいよ!」と大賑わい!もう収集がつかなくなってしまうよ。
そんな光景を見ていると、彼らの生活が少しずつ見えてくるんだよね。
シェムリアップでは、多くの子どもたちが家族のために働いている。食べるためにお金が必要なんだ。学校に行きたくても、家のお手伝いやお金を稼ぐことが優先されることも多い。
それでも、ただお土産を売るだけじゃなく、観光客とおしゃべりしたり、冗談を言ったり、ときには手品を見せたり…しっかり楽しむことも忘れていない。そんな彼らを見て「すごいなぁ」、「たくましいなぁ」と思う。
ぼくが会った子どもたちの中には、「手相を見てあげるよ!」と真剣にぼくの手をじーっと見つめる子もいたし、「ちょっと自転車乗ってみなよ!」と自分の自転車を貸してくれる子もいた。
遺跡を見に来たつもりだったけれど、一番心に残ったのは、そこで一生懸命に生きる子どもたちとの会話だったりして。
シェムリアップの町には、壮大なアンコール遺跡の影で、毎日を懸命に生きる人々がいる。
お土産を売る子どもたちの姿もまた、この町を象徴する風景のひとつなんだなぁと感じたよ。
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