【旅景】無数の龍に守られる「聖明宮」〔台湾/九份〕<Kids>

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無数の龍に守られる「聖明宮」

無数の龍に守られる「聖明宮」〔台湾/九份〕

台湾を訪れた際、いくつかの寺院を巡る機会があった。そのどれもが鮮やかな色彩に彩られ、煌びやかな装飾が施されており、日本の寺院とはまた異なる雰囲気を醸し出していた。

特に目を引いたのは、多くの寺院で電光掲示板が設置され、参拝者に向けたメッセージが流されていることだった。

信仰の対象である神仏の教えが、現代の技術と融合することで、より多くの人々に届けられているのかもしれない。

いずれの寺院でも、人々は目を閉じ、静かに手を合わせて祈りを捧げていた。その姿は、日々の生活の中で信仰が深く根付いていることを感じさせる。

台湾の人々にとって寺院は単なる観光地ではなく、心の拠り所であり、家族の健康や商売繁盛を願う大切な場所なのだ。

そんな中、訪れたのが、九份(きゅうふん)という町の頂上付近にある「聖明宮」だった。九份は、台湾の歴史的な町並みが残る観光地であり、日本統治時代の建物や西洋建築が混在している独特な雰囲気を持つ。

その中でも「聖明宮」は、商売繁盛の神様として信仰されている関羽を祀る寺院として、多くの人々が訪れる場所だ。

関羽と言えば、「三国志」好きの私にとっては、蜀を治める劉備玄徳の右腕でその知性と剛腕で有名な武将である。その関羽がなぜ商売繁盛の神として祀られているのか、少し不思議ではあった。

境内を歩いていると、あることに気がついた。

寺の内外に無数の龍があしらわれているのだ。屋根の上を見上げると、そこにはまるで空を舞うかのように躍動する龍の姿があった。壁や柱、門の至るところにも、細かく彫り込まれた色鮮やかな龍が睨みをきかせている。その数は尋常ではなく、日本の寺院で見かける龍の装飾とはまったく異なるスケールだった。

この光景を見て、京都・天龍寺の「雲龍図」を思い出した。私は、嵐山の雰囲気が好きなので京都を訪れた際は、かならず天龍寺に足を運ぶ。あの八方睨みの龍も圧倒的な存在感を放っているが、ここ「聖明宮」では、それ以上の迫力を感じた。数えきれないほどの龍が視線を送り合い、まるで寺全体を守護しているかのようにも見える。その光景を目の当たりにしながら、「ここにいる限り、どこにいても龍の視線から逃れることはできそうにない」とさえ思えてくる。

仏教において、龍は仏法(お釈迦様の教え)を守る神聖な存在とされている。そのため、寺院に龍の装飾が施されること自体は珍しいことではない。

しかし、これほど多くの龍が配置されている寺は、他ではあまり見たことがなかった。台湾の寺院ならではの独自の信仰や文化が、この圧巻の装飾に表れているのだろう。

ふと、人気漫画『ドラゴンボール』の神龍を思い出した。願いを叶えるために現れる伝説の龍。その威厳ある姿と、ここで見た無数の龍たちが重なり合い、不思議な感覚にとらわれた。

もし本当に神龍がいるとしたら、この聖明宮のどこかに眠っているのではないか――そんな空想さえ抱きながら、私はしばし龍の彫刻を見つめ続けた。

無数の龍に守られる「聖明宮」〔台湾/九份〕<Kids>

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台湾には、カラフルでキラキラしたお寺がたくさんある!日本のお寺とはちょっと違って、派手な色やピカピカ光る装飾も少なくない。電光掲示板を備えるところもかなりあるよ。

そんな台湾のお寺の中でも、とびっきりインパクトがあったのが「聖明宮」っていう寺院。

このお寺があるのは、観光地としても有名な九フン(きゅうふん)。細い坂道が続くレトロな町並みの先、山の上にある。

「よし、行ってみよう!」と境内に足を踏み入れた瞬間、びっくり!

…龍!龍!龍!

あっちにもこっちにも龍!

屋根の上、門の柱、壁のあちこち、もう見渡す限り龍だらけ!まるで龍の世界に迷い込んだみたい。

「なんだ、この龍の数は…」

じっくり見てみると、それぞれの龍が違うポーズをとっている。今にも飛び出しそうな躍動感のある龍や、鋭い目でこちらを見つめる龍。鉄壁の守りで寺院を守ってるんだね。

そういえば、日本のお寺にも龍の彫刻や絵があるけれど、ここまでの数は見たことがない。日本の龍がどこか静かにたたずんでいるのに対して、台湾の龍たちは「オレたちが守ってるぞ!」と全力アピールしているみたいだ。

この「聖明宮」には、三国志で有名な武将・関羽(かんう)が祀られている。関羽といえば、劉備(りゅうび)の仲間で、超強くて義理堅い武将!でも、なんで武将の関羽が商売繁盛の神様としてお祀りされているのか、すこし不思議に思った。

あとから台湾の友だちに聞いたところ、関羽は昔から「信用第一の人」として尊敬されていたらしい。だから、「商売をする人も、関羽のように正直でまじめに頑張れば成功する!」と考えられて、お店の人たちに信仰されるようになったんだとか。

なるほど、それで「商売繁盛の神様」なんだ!

それにしても、このお寺の龍たちはまるで神話の世界から飛び出してきたみたいだった。

ふと、『ドラゴンボール』の神龍(シェンロン)を思い出したよ。もしかしたら、このお寺のどこかに願いを叶えてくれる龍が隠れているかも!?なんて空想しながら、しばらく龍たちを眺め続けた。

「聖明宮」は、ただのお寺じゃなくて、信仰とアートと歴史が全部つまった、不思議な世界だったなぁ。

台湾に行ったら、ぜひこの龍たちに会いに行ってみて!

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