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山岳少数民族の村で出会った少年たち
山岳少数民族の村で出会った少年たち〔タイ/チェンマイ〕
チェンマイにはさまざまなトレッキングツアーがあり、特に欧米の旅行者に人気がある。
私が参加したのは、2泊3日のツアー。象に乗り、竹筏に揺られ、山道をひたすら歩くという、まさに大自然を体感できるものだった。
ツアーメンバーは私のほか、一緒に旅をしていたアメリカ人の友人カップルと、初対面のドイツ人のカップル。ドイツ人カップルもとてもおしゃべりな明るい方で、共通の目的を持って旅をする者同士、すぐに打ち解けた。
季節は春だったが、山間部の夜は想像以上に冷え込む。
泊まるのは村人たちが建てた簡素な高床式の小屋。窓はなく、隙間だらけの木の壁に囲まれた空間は、昼間の太陽の暖かさはどこへやら、鳥肌が立つほど肌寒いものだった。
布団はなく、毛布が一枚ずつ。それでも、ツアーメンバーと冗談を言い合い、旅の話に花を咲かせながら眠りについた。暗闇の中、ろうそくの光だけが頼りの夜だった。
タイには、山岳少数民族、チャイカオ(山の民)と呼ばれる人々がいる。約35万の人口を持つカレン族を筆頭に、モン族、ラフ族、ヤオ族、アカ族、リス族、ティン族、カム族、そして数十名ほどしかいないといわれるムラブリ族。
それぞれが独自の文化、言語、信仰を持ち、長い年月をかけて山地での生活を続けている。近代化の波が押し寄せる都市部とは異なり、彼らの暮らしは今も昔と変わらず、自然と密接に結びついている。
私たちが泊まった村も、そんな山岳民族の住む場所だった。水道も電気もなく、夜になると村全体が漆黒の闇に包まれる。小屋の中にはろうそくのほのかな灯りだけが揺れ、静寂の中、虫の鳴く声や、かすかな風の音が聞こえていた。
しかし、寝静まる頃になって、外から不思議な音が聞こえてきた。「グナー、グナー」と何度も繰り返される。
私たちは何事かと音のする方向に耳を澄ませた。何かの動物だろうか。それとも、風の音がそう聞こえるのだろうか。
しかし、しばらくするとクスクスという子どもたちの笑い声がわき起こったのだ。音の主は、知れた。
昼間、私たちを珍しそうに眺め、少し離れたところから様子をうかがっていた村の子どもたちだったのだ。彼らは小屋の壁を挟んで私たちの様子を伺いながら、控えめな声でそれぞれに「Good night…」と囁いていたのだった。
彼らなりの精一杯の英語で、私たちに夜のあいさつをしてくれていたのだ。そう思うと、その純粋な心に、わずかばかりの幸福感が漂う。
私たちは、「Good night, see you tomorrow!」と返した。すると、暗闇の向こうから、またクスクスと笑う声が聞こえた。秘密のやりとりをしているような、小さくも心温まる交流だった。
次の日の朝、私たちが出発の準備をしていると、2人の兄弟らしき男の子が道で遊んでいた。私は、手招きして彼らを呼び寄せ、カメラを片手にジェスチャーで写真を撮っていいか尋ねた。少年らは指で丸の形をつくり、撮影に応じてくれた。
今でもこの写真を見るとあの夜の子どもたちの声がよみがえる。
山岳少数民族の村で出会った少年たち〔タイ/チェンマイ〕<Kids>
<Kids>はキッズと読むよ。「子ども」という意味。大人の文章はちょっと固くて読みにくいよね。<Kids>の表示がある文章は、小学生や中学生でも読みやすい文章にしているよ。これからキッズのみんなに読んでほしい記事をたくさん書こうと思ってるからときどき遊びに来てね。検索窓に<Kids>または<キッズ>と入れてキッズ向けの記事を探してね。くまの先生より
タイ北部の街、チェンマイには、ワクワクするようなトレッキングツアーがいっぱい!
特に欧米の旅行者に人気で、ぼくが参加したのは2泊3日のツアー。
トレッキングというのは、象に乗ったり、竹筏にゆられたり、山道をひたすら歩いたりと、大自然を全身で楽しめる冒険だと思ってくれていいよ。山の中って楽しいことがたくさんあるんだから!
トレッキングのメンバーは、旅仲間のアメリカ人カップルと、初対面のドイツ人カップル。ドイツ人の二人も明るくておしゃべり好きで、みんなすぐに仲良くなったよ。
アメリカ人の英語、ドイツなまりの英語、そして日本なまりの英語、そしてガイドさんはタイなまりの英語、いろいろな英語が混ざり合った会話だったけど笑顔の絶えないおもしろいコミニケーションだったなぁ。
春とはいえ、山の夜はびっくりするほど寒いよ!
泊まるのは村人が建てたシンプルな高床式の小屋。窓なんてないし、木の壁には隙間がたくさん。昼間のポカポカ陽気はどこへやら、毛布一枚ではガタガタ震える寒さだったんだ。それでも、みんなで冗談を言い合いながら、ろうそくの灯りの中でおしゃべりを楽しんでいたよ。
タイには「山の民」と呼ばれる山岳少数民族がいるんだ。
カレン族(約35万人)をはじめ、モン族、ラフ族、ヤオ族、アカ族、リス族、ティン族、カム族、そしてたった数十人しかいないムラブリ族。
それぞれが独自の文化や言葉、信仰を持ち、何百年も前から山の中で暮らしているんだ。都会とはまるで別世界!自然とともに生きる人たちだ。
ぼくらが泊まった村も、そんな山岳民族の暮らす場所だった。
水道も電気もないから、夜になると村全体が真っ暗に。ろうそくのほのかな灯りだけがゆらゆら揺れ、虫の声と風の音だけが静かに響いていた。
そんな夜、ぼくらが寝静まるころ、不思議な音が聞こえてきた。
「グナー、グナー…」
動物の声? それとも風の音? みんなで耳を澄ませていると、クスクスという小さな笑い声が混じった。5,6人はいたかな。
なんと、昼間ぼくらをじっと見ていた村の子どもたちが、小屋の外からそっと様子をうかがいながら、「Good night…」とささやいていたんだ!
ぼくらも「Good night, see you tomorrow!」と返すと、暗闇の向こうからまたクスクスと笑い声が聞こえた。まるで秘密の合図みたいな、小さな心温まる交流だった。
翌朝、出発の準備をしていると、2人の兄弟らしき男の子が道で遊んでいた。
ぼくがカメラを片手に「写真を撮ってもいい?」とジェスチャーすると、少年たちは指で丸を作り、ニコッと笑って応じてくれた。
今でもこの写真を見るたびに、あの夜、暗闇の中で聞こえた「グナ~」の声がよみがえるんだよね。
【旅景】では、他にもいろいろな旅の景色を見ることができます