毎日の短学活に「小さな継続」を設定する
今回は、短学活(帰りの会)に導入している小さな取組を紹介します。
紹介済みの「私が見つけたMY SDGs」と同様に、明日からでも取り組めるごく簡単な活動です。また、小中高のいずれの校種でも実施できる内容です。
SDGsについて直接学ぶものではありませんが、その理念や精神につながる取組だと考えています。
小学校や中学校の短学活では1日の授業や生活の振り返りをすることが多いと思います。担任によっていろいろなスタイルがありますが、毎日必ず行われるこの短学活というシーンは「小さな継続」を設定するには絶好の場と言えます。
理念や精神は、長い時間をかけ少しずつ私たちの心にしみ込むものです。「小さな継続」の積み重ねが大切です。
カバーリング導入のイメージ
短学活で「カバーリング(包摂)」を発表させる
SDGsの理念のひとつである「誰ひとり取り残さない(No one will be left behind)」を目指すため短学活のメニューに「カバーリング(包摂)」を設定しています。
「包摂」という言葉は、中学生にはちょっと馴染みが薄いので「カバーリング」と呼んでいます。小学生であれば、「助け合い」という呼び方でもいいでしょう。
「カバーリング」において子どもたちは「力を合わせてクラスのメンバー全員(誰ひとり取り残さない)にとって過ごしやすい空間をつくる」ための発言をします。
具体的に、生徒たちは次のような発言をします。(すべて生徒による実際の発言です)
●僕が○○していたとき△◇さんが手伝ってくれたので助かりました。ありがとうございました。
(支援に対して感謝する発言)
●今日は、☆☆さんが他学年がこぼした牛乳を拭き取っていました。とても助かりました。
(仲間の行為を認める発言、認め合いを醸成する発言)
●掃除のときに机の上に筆箱を置いている人が多くて机を運びにくかったです。これからは机の中かロッカーに置くようにしてください。
(困りの解消について提案する発言)
●だれか私が○○するのを手伝ってくれる人はいませんか。
(支援を求める発言)
●今日、□△について話し合いたいので放課後残っておいてください。
(協議の呼びかけ)
●歌詞カードを作りたいので手伝える人は放課後残ってください。
(協働作業の呼びかけ)
●先生が廊下のドアのレールをきれいに磨き上げてくれました。ありがとうございました。
(感謝の発言)
包摂を目指す世界の縮図をクラスに再現する
毎日このカバーリングを続けることで、子どもたちの心には少しずつ「全員が快適に過ごせているか」、「何か問題は起きてないだろうか」、「困っている人はいないだろうか」、「快適なクラスには何が必要なのか」、「自分ができることは何だろう」という包摂の視点が育まれます。
ひとりひとりの居場所がある過ごしやすい学級へのアプローチとして一度試してみてはいかがでしょうか。
学級という小さな集団で「包摂」を学んだ子どもたちは、それをより大きな集団(これから進学する学校、就職する会社、地域など)で展開するようになるでしょう。
クラスを世界の縮図と考えましょう。支え合い、助け合い、困りの解消を練習する場所にすることができます。
これからもSDGsを達成するための仲間を育てる気持ちで取り組んでいきたいと思います。