ヒトはなぜ突然ひらめくのか
今日はレミニッセンス効果についてお話します。
皆さん、次のような経験はありませんか。
○勉強後にゆっくり入浴していたら突然できなかった問題の解法を思いついた
○何回やってもできなかった問題があり、あきらめて寝たら翌日になぜかその問題が解けた
誰でも一度はこのような経験をしたことがあると思います。不思議です。偶然でしょうか。
実はこうした現象には根拠があり、科学的な裏付けがあるんです。
時間が経てば経つほど「記憶」は薄れるものだと思われがちですが、「記憶直後」に比べて「記憶から一定時間経過した後」の方がよく思い出せることが往々にしてあります。
この現象を「レミニッセンス効果」と呼びます。
人間は一定時間集中した状態が続くと集中力が低下し、作業効率も低下します。週末の夜に遅くまで作業をしていると顕著にこの「作業効率の低下」を感じますね。休憩や睡眠をはさむことで集中力や思考力が回復することは経験上、私たちもよく知っています。
だから、疲れた脳が休息を得たあとに復活して前日解けなかった問題の解法を急に思い出したりすることがあるのだと考えられます。
集中して作業を続けられる時間には個人差がありますが、原則的には、学校の授業の時間に準じて休憩時間を入れると良いでしょう。皆さんの体や脳はそのリズムに慣れています。「50分の勉強で10分程度の休憩」のリズムをベースに、学習内容によっては「30分の勉強で5分の休憩」という風に自分で調整しましょう。
脳を休めるという意味で、短時間の仮眠も有効です。
睡眠中に脳が情報を整理している
脳は一定時間情報が遮断されると直前に記憶した情報を整理し始める特性があります。つまり、学んだことは睡眠中に脳内で整理整頓され、知識や情報などは活かされやすい状態に最適化されます。
これを知っておくだけでもずいぶんと学習の効率化に役立ちます。
アメリカのある心理学者の実験によると、無意味な言葉の羅列を学生たちに覚えさせたところ、記憶した直後に眠ったグループは、睡眠をとらずに通常の活動をしていた学生のなんと5倍以上も憶えていたというのです。
勉強が終わったあとは、ゆっくり頭を休めましょう。深く考えたり悩んだりする作業を脳に強いることのないように意識しましょう。よって勉強後のゲームもNGです。
試験前夜の一夜漬け勉強も効率の良い勉強とは言えません。早め早めに取りかかり、適度の休憩をはさみながらリズミカルに勉強できるように心がけましょう。
ぜひ実践したい効果的な復習法
最後に、元ソフトバンク社長室長の三木雄信(みきたけのぶ)氏が著書『英語は1年でマスターできる』の中で提案している記憶の定着度がアップする方法を紹介します。
皆さんにぜひ実践してほしい効果的な復習法です。
前日に学んだことは、翌朝に復習。平日に学んだことは、土曜日に復習。この「前日→翌日」「平日→土曜」という二つの復習サイクルを回していくと、学んだことが着実に頭の中に定着していきます。
『英語は1年でマスターでき著書る』著者:三木雄信(みきたけのぶ)
最後にもうひとつ。先日、NHKスペシャルで脳の特集を放送していました。
思考を伴わないぼんやりと安静状態にある脳が示す神経活動は、デフォルト・モード・ネットワークと呼ばれ、大脳皮質内の記憶の断片が結びつき新しいひらめきが生じやすい状態であるというものでした。お風呂や散歩でリラックスしているときに新しいアイデアや問題の打開策をひらめくことにも納得がいきますね。
番組で山中信哉氏がiPS細胞のヒントもシャワーを浴びながらひらめいたと語っていました。 勉強の休憩に、シャワーや散歩も良さそうですね。
それにしてもヒトの脳の神秘には畏敬の念をいだかずにはいられません。
「学習」に活かせる部分は積極的に取り入れたいですね。