
チナイモ浄水場の水
チナイモ浄水場の水〔ラオス/ビエンチャン〕
昔訪れたラオス北部の田舎町では、水道が整備されておらず、人々は日常的に井戸を利用していた。井戸の近くには、古い容器を持った住民たちが集まり、家族のために必要な水を汲んでいたのを覚えている。夕方の涼しい時間帯になると、住人らが井戸水を汲みながら談笑していた。
水は彼らにとって貴重な資源であり、料理や皿洗い、洗濯、さらには家畜の世話にも使われていた。ただし、飲料水として直接使うには衛生面での不安があったため、汲んだ水は一度沸騰させてから飲まれることが一般的だった。
私も何度かお茶をいただいたことがある。少し濁っていたものの、口に含むと柔らかく優しい味がしたのを思い出す。そのお茶には、ラオスの暮らしと共にある水の大切さが滲み出ているようだった。
今回、研修の一環でビエンチャンのチナイモ浄水場を訪れる機会があった。
施設の方の話によると、現在のラオスでは、約650万人の人口のうち、水道を利用できる人は約162万人にとどまり、普及率はわずか25%だという。
これは日本のように蛇口をひねれば清潔な水が出る生活とは大きく異なる。私たち日本人にとって当たり前のことだが、多くの国で水事情が異なることを時として私たちは忘れてしまう。
水は単に飲むためだけでなく、生活のあらゆる場面で必要不可欠な存在である。料理にはもちろんのこと、農作物を育てるための灌漑、家畜への給水、さらにはトイレの使用にも水が不可欠だ。
特に農業が主要産業であるラオスでは、安定した水の供給が農作物の収穫量に直結し、それがひいては家計や地域経済の安定にも影響を与える。
幸いにしてラオスには潤沢な水があるが、世界には干ばつの被害に苦しむ地域が数多く存在し、特にアフリカやアジアの一部では、水不足が深刻な問題となっている。
降雨量が少ない年には作物が十分に育たず、食糧不足が発生し、それが飢餓や貧困の拡大につながる。水がないということは、単なる不便ではなく、生死に関わる問題なのだ。
衛生管理の面でも水は極めて重要な役割を果たす。アフガニスタンで医療活動を行っていた中村哲医師の「水で洗うだけで(子どもの病気が)かなり良くなる」という言葉を思い出す。
彼は医師でありながら、現地での医療活動を通じて水不足が健康問題と密接に関連していることを痛感し、やがて治水事業に力を注ぐようになった。彼が築いた水路は多くの人々の生活を支え、地域の健康環境を大きく改善した。
このような課題に対して、日本のJICA(国際協力機構)の水道プロジェクトチームは、ここラオスも含め、アジアやアフリカの各地で活動を続け、安全な水を住民に届けるために支援を行っている。
井戸の掘削や水道インフラの整備、水の浄化技術の導入など、現地の人々の生活を根本から支える取り組みが進められている。
私たちもまた、普段何気なく使っている水の大切さについて今一度考えてみるべきではないだろうか。日本では蛇口をひねれば清潔な水が手に入るが、それは決して当たり前のことではない。水が命を支えていることを意識し、世界の水問題について関心を持つことが、将来の持続可能な社会につながる一歩となるかもしれない。
※グラフからは、近代の日本における水道の普及率が乳幼児の疾病率に反比例している様子が読み取れる。清潔な水の供給が健康維持に直結していることが、このデータからも明らかである。
チナイモ浄水場の水〔ラオス/ビエンチャン〕<Kids>
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昔、ラオス北部の田舎町を訪れたときのこと。
そこでは、水道が整備されていなくて、みんな井戸を使って生活していたんだ。夕方になると、人々がバケツを持って集まり、家族のために水を汲む。水を汲みながらみんなでおしゃべりしていて、とっても穏やかな時間が流れていた。ただの仕事じゃなくて、交流の場にもなっていたんだね。
でも、この井戸の水はそのまま飲めるわけじゃない。ばい菌がいることもあるから、一度沸騰させてから飲むのが普通なんだって。
「ちゃんと沸かしてから飲むんだよ!」そう教えてくれたのは、現地の人。
沸騰させれば安全だけど、火を起こすのも簡単じゃない。だからこそ、水はとっても貴重なものなんだ。
ぼくも何度か井戸の水で入れたお茶をいただいて飲んだけど、少し濁ってた。でもなんだか優しい味がした。このお茶を飲みながら、「水って、本当に大事なんだなぁ」としみじみ思ったんだよね。
そんなぼくが、今回、機会があってラオスの首都ビエンチャンにある浄水場を見学することになったんだ。
そこで聞いた話に、またまたびっくり!
今、ラオスで水道が使えるのは、人口のたった25%。残りの人は井戸や雨水を使って生活しているんだって。つまり、4人に3人は、水道のない生活をしているってこと!
日本では蛇口をひねれば水が出るけれど、それがどれだけすごいことなのか改めて考えさせられた。
水はただ飲むだけじゃなく、料理や洗濯、トイレ、畑の水やり、家畜の世話にも必要だよね。もし水がなかったら…?
○畑の作物が育たず、食べ物が足りなくなる。
○体を洗えなくて、病気になりやすくなる。
○家畜に水をあげられず、お肉や牛乳が減ってしまう。
そう、水がなければ、生活そのものができなくなってしまうんだ。
ラオスは幸い水が豊富な国だけど、世界には水不足で困っている国がたくさんある。アフリカやアジアの一部では、水が足りないせいで作物が育たず、食べ物がなくなり、困っている人がいっぱいいる。
日本の「JICA(国際協力機構)」は、ラオスの人々が安全な水を使えるように、井戸を掘ったり、水道を整備したりして助けてるんだって。
そういえば、アフガニスタンで医療活動をしていたお医者の中村哲先生が、「水で洗うだけで(子どもの病気が)かなり良くなる」と話していたことを思い出したよ。
中村哲先生は、お医者だったんだけど水が大切だといってアフガニスタンにたくさん用水路を作って、人々の生活を支えたんだ。水によって多くの命が救われたんだよね。
水って、生きるために本当に大切なものなんだ。ぼくたちも、普段から水を大切に使わないとね。
例えば、次のようなことってできるよね。
○歯みがきのとき、水を出しっぱなしにしない。
○食器を洗うとき、水を出しっぱなしにしない。
○お風呂の残り湯を洗濯に使う。
○蛇口をしっかり閉める。
「水って大事」と意識するだけでも違ってくるよ!
当たり前にあると思っていた水。でも、それがどれだけ貴重なものか、ラオスで改めて考えることができたよ。
水を大切に使えば、未来を変えられるかもしれない!
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