
「シネマトバトル」で自己表現、感想交流、そして新しい作品との出会い
「シネマトバトル」は、英語の4技能を楽しく実践しながら、映画を通して深い気づきや対話を生み出す総合的な活動です。
大まかな流れは、映画を紹介しあい「最も見たいと思った映画紹介」に投票し合ってチャンプ・ムービーを決定するというものです。
自分の一押し映画を紹介するだけではなく、パッケージを貼付したり、好きなキャストの情報を交換したりと楽しい学習活動が展開されます。
素材として映画を扱うメリットは、老若男女問わず誰もが楽しめるエンターテイメントであり、外国の学校と交流するときにも映画であればトピックとしての共有性が高く、共感が得られやすい点です。
いろいろな意味で、大きな発展性や可能性を含んだ活動です。
映画を楽しみながら、自分と対話しながら、仲間と対話しながら、英語の表現力を磨くことができます。
また、学期末や年度末にみんなで大画面でチャンプ・ムービーを鑑賞できたら子どもたちにとって忘れられない1本になりそうです。
「シネマトバトル」の教材イメージ

「シネマトバトル」の概要とバリエーション
生徒たちはお気に入りの映画を1本選び、ワークシートにそって基本情報や感想、お気に入りのセリフなどを書き込みます。
最後にクラス内で発表し合い、相互評価・投票・コメントで交流を深めます。
チャンプ・ムービーの決定に関しては、いくつかの決定方法が考えられます。
<チャンプ・ムービー決定方法のバリエーション>
イチ押し映画の紹介のみで活動を終えるのも一案です。
チャンプ・ムービーを決める場合は、いくつか決定方法が考えられます。
①全員による全体発表の後に、投票で決する
②グループでの感想交流を予選と位置付けて、グループ代表のみが全体発表する。その後、全員による投票で決定。または、グループごとに票を投じるやり方も考えられる。この場合、グループ内での議論がさらに深まるというメリットがある。
③英語科、学年、学校の教員が審査員となり、生徒投票も参考にしながらチャンプを決する。
方法 | メリット | デメリット |
---|---|---|
① 全員発表+投票 | ・全員が主役になれる ・クラスの一体感が生まれる ・公平な印象がある |
・発表時間が長くなる ・長時間になり聞き手の集中力が切れやすい ・多数決になりやすい |
② グループ予選+代表発表 | ・グループ内の対話が深まる ・発表数を絞れて集中して聞ける ・予選が盛り上がる ・対話が生まれやすい |
・全員が前で発表できない ・代表選出に偏りが出る可能性 |
③ 教員審査+生徒投票は参考 | ・教育的観点から評価できる ・発表の質を高める動機になる ・客観性・信頼感がある |
・結果に納得しにくい生徒もいる可能性あり ・教員の負担が増える |
生徒の実態やそれぞれの選出法のメリットとデメリットを考えてチャンプ・ムービーを決めましょう。
<投票のバリエーション>
相互評価シートや投票用紙によるオーソドックスな投票が基本でしょう。
掲示したワークシートにシールやスタンプで投票という方法も。
➡投票に利用できる「イイねシール」の記事もご覧ください。
ICTを活用して効率性をアップしたり、色付きのピンポン玉を使って投票を可視化する演出で盛り上げるなど工夫の余地はあります。
<賞のバリエーション>
グランプリ・準グランプリ以外にもいろいろと楽しい賞が考えられます。
「名セリフ賞」、「見たくなったで賞」、「学校長賞」、「ALT特別賞」など。
<その他の工夫や発展性>
●全校実施が不可能な場合、任意の学年で実施することも可能
●作品集として冊子にまとめると思い出に残る
●PTAなどで保護者に対して発表会を実施する、または保護者にも参加してもらう
●ポスターを掲示したり、通信でコンテストの話題を取り上げるなどしてイベント的な雰囲気を演出する
●投票に利用できる「イイねシール」の記事もご覧ください。
ワークシートの各項目で使える便利な表現
映画に関する議論や活動のやり取りに使える表現を事前に扱っておくと活動がスムーズに流れます。
活動の概要を伝えた直後、モチベーションが高まっているタイミングで表現の押さえをするのが効果的でしょう。
具体的などんな文章になるか、これまで何度も生徒に紹介してきた「グーニーズ」を例に示します。
<基本情報>
まず、映画タイトル、製作年・国、ジャンル、監督などの基本情報。
Today, I will talk about the movie “The Goonies.”
It was made in 1985.
It was made in the United States.
It’s an adventure movie and also a little bit of comedy.
It was directed by Richard Donner.
<主人公>
The main character of this movie is ○○.
(この映画の主人公は○○です)
他の言い方として、
This movie’s main character is○○.
The hero of this movie is ○○.(主人公が男性やヒーローの場合)
The heroine of this movie is ○○.(主人公が女性の場合)
○○ is the main character in this movie.(主語を前に出して強調する言い方)
などがあります。以下に例を3つ。
The main character of this movie is Harry Potter.
This movie’s main character is a girl named Chihiro.
Shrek is the main character in this movie.
BASICのシートでは、主人公の性格などを説明するために少し広めにスペースを割いています。
複数の主人公がいる場合は、以下のように主語を複数形に。
The main characters of this movie are a group of kids called "the Goonies."
They are close friends, and they go on an exciting treasure hunt adventure.
<印象に残ったセリフの紹介>
セリフに加えて、意味や理由を簡潔に添えるとベター。
My favorite line is: “Goonies never say die!”
It means they never give up, and I think it’s very cool.
<感想>
The strong friendship and exciting adventure were great.
It was a very moving movie.
It made me want to try many new things.
まとめると以下のような発表内容になります。
Today, I will talk about the movie “The Goonies.”
It was made in 1985.
It was made in the United States.
It’s an adventure movie and also a little bit of comedy.
It was directed by Richard Donner.
The main characters are a group of kids called the Goonies.
The leader is Mikey, a brave and curious boy.
They go on a treasure hunt to save their homes.
I’d like to share my impressions.
I think this movie is exciting and full of surprises.
I like the friendship between the characters.
My favorite line is: “Goonies never say die!”
It means they never give up, and I think it’s very cool.
The strong friendship and exciting adventure were great.
It was a very moving movie.
It made me want to try many new things.
This is the movie I recommend!
I hope you enjoy it too.
Thank you for listening!
I’m Waku Taro.
「シネマトバトル」の教育的メリットとおすすめポイント
◆ 感情と経験を言語化する機会が豊富で、「自己開示」の促進に
映画は感情を喚起しやすい素材です。感動、笑い、喜び、恐怖、驚きなど、さまざまな「気持ち」が自然と生まれ、それを表現することが「自己開示(self-disclosure)」の機会になります。
とくに、自分の好きなセリフや印象に残った場面を語ることは、無理なく「自分の内面を言葉にする」ことにつながります。
心理学の観点からも、自己開示は人間関係の親密さや信頼感を高める効果があることが知られています。
◆ 感情の共有が、クラスの一体感や相互理解を高める
同じ映画を観たり、それについて語り合ったりすることは、「私もそのセリフが好き!」、「そのシーン、私も覚えてる!」というような共感の瞬間を生み出します。
これらの共有された感情体験は、クラスの心理的距離を縮め、一体感や安心感のある人間関係を築くきっかけになります。
英語の授業ではなく「お楽しみ的な学級活動」として実施したい先生向けに、日本語版シートも用意しています。
◆ 相手の視点や感情に触れる「共感力・視点取得力」の育成に
他者の感想を聞くことは、「なぜその人はその場面に心を打たれたのか?」という問いを通じて、相手の視点や感情を想像する<共感力・視点取得(perspective-taking)>のトレーニングになります。
こうした活動は、クラスや集団全体の対人理解力や協調性の向上にもつながり、特に思春期の生徒にとって大切な「他者を理解する力」を育てることが期待されます。
◆ 対話と承認の場としての魅力
「シネマトバトル」というネーミングには、ワクワク感や参加へのハードルを下げる効果を込め、「バトル」という言葉を意図的に使っています。ですが、実際の活動は競争ではなく、対話・交流・承認が中心です。
発表を聞いた仲間がコメントやスタンプでリアクションを返したり、質問し合ったりする中で、自己表現へのモチベーションが高まり、共感を通じた満足感や、他者とつながる一体感を味わうことができます。
「シネマトバトル」ワークシートのバリエーション
【JAPANESE TYPE/日本語版】小学生・英語以外の学級活動やイベント向け。(近日アップ)
【FREE TYPE】発展型・自由記述スタイル。構造にとらわれず「自分の言葉」で表現する。(近日アップ)
教材ダウンロード DOWNLOAD
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